神戸地方裁判所 昭和39年(わ)1192号 判決 1966年12月08日
本店所在地
神戸市東灘区魚崎町五百崎七四〇番地
商号
株式会社 水野組
代表者代表取締役
水野幸一
本籍
岡山県児島市下津井三〇一番地
住居
神戸市東灘区魚崎町魚崎二五二の九番地
会社社長
水野幸一
明治四三年二月一日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官大谷晴次出席のうえ審理をし次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社水野組を罰金五〇万円に、被告人水野幸一を懲役四月に処する。
被告人水野幸一につきこの裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予する。
理由
被告会社株式会社水野組は神戸市東灘区魚崎町五百崎七四〇番地に本店を有し、土木建築、運搬、構内荷役、沿岸荷役事業を営むもの、被告人水野幸一は右会社代表取締役としてその業務一切を統括しているものであるが、被告人水野は右会社業務に関し法人税逋脱を企て、
第一、被告会社の昭和三五年九月一日から昭和三六年八月三一日までの事業年度における課税標準額たる所得金額は九、六一八、四二五円で、これに対する法人税額は三、五五四、九九〇円であつたにも拘らず、所得の除外、架空経費の計上等の不正の方法によつて所得を秘匿したうえ、昭和三六年一〇月三一日芦屋市公光町三〇番地芦屋税務署において、同署署長に対し被告会社の右事業年度における課税標準額たる所得金額は、欠損金四、三九〇、〇五二円、法人税額は零である旨虚偽の確定申告書を提出し、以て不正な行為により正当法人税額と申告法人税額との差額の法人税三、五五四、九九〇円を逋脱し、
第二、被告会社の昭和三六年九月一日から昭和三七年八月三一日までの事業年度における課税標準額たる所得金額は二八、五七九、七五五円で、これに対する法人税額は一〇、七六〇、二八〇円であつたにも拘らず、前同様の方法によりその所得を秘匿したうえ、昭和三七年一〇月三一日前記芦屋税務署において同署署長に対し、被告会社の右事業年度における課税標準額たる所得金額は一、九三三、三五六円で、これに対する法人税額は六三七、九八〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、以て不正な行為により正当法人税額と申告法人税額との差額の法人税一〇、一二二、三〇〇円を逋脱し
たものである。
右判示各事実は
一、被告会社、被告人の当公判廷における各供述
一、被告会社代表者水野幸一作成の上申書
一、被告人水野幸一の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一、被告人水野幸一の検察官に対する供述調書二通
一、松田秀彦の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書
一、山崎三代子(二通)、田上保、松崎隆一の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、水野皓平の検察官に対する供述調書二通
一、安井操の検察官に対する供述調書一〇通
一、被告会社登記簿謄本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書及び犯則税額計算書
一、芦屋税務署長作成の法人税確定申告書写及び法人税修正確定申告書写二通
一、押収してある一三期元帳、一三期決算資料綴、千葉宮崎町山林関係書類綴、土地関係差損帳簿資料綴、総勘定元帳、一四期税務資料綴、作業関係資料綴、決算資料綴
によりそれぞれ認める。
(法律の適用)
被告人水野につき
第一、第二事実 各昭和四〇年法第三四号附則一九条による改正前の昭和二五年法第七二号法人税法四八条一項(各懲役刑のみ科す)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条一項
被告会社につき
第一、第二事実 各昭和四〇年法第三四号附則一九条による改正前の昭和二二年法第二八号法人税法五一条一項、同様改正前の昭和二五年法第七二号同法四八条一項、刑法四八条二項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 原田直郎)